観るものと、生活の日記

観劇のきっかけ



観劇のきっかけ  

○2001年くらいに、TVのBS2で「NODA・MAP」特集がしていました。
その頃お芝居にあまり興味なかったのですが
私が中学生くらいの時にTVに出ている野田さんを見て親が
「この人は夢の遊眠社とかいう劇団をしててすごい早口で喋ったりして
訳わからんのやけど、あんたがすきそうな感じ」とか何とか言ってたのと
当時「半神」の一場面が流れるCMが印象的で、野田さんには
少し興味ありました。それで放映した5作品中最後の
「パンドラの鐘」だけ見たんですね。
セリフが多くて訳分からないけど笑えるとこもあって不思議な気持ちで
見てたら、どんどん引き込まれて結局
すごーく感動したんですね。「劇ってこんなに面白かったんだ?」
という程。それまでこういうジャンルのお芝居知らなかったんです。
学校巡回劇か、フツウの翻訳劇くらいしか見たことなかったから。
後から「何で5作品全部見なかったのー」って後悔、ついでに
「生で見たかったー!」って思いましたね。
涙ボロボロ出ました。
    
後日「半神」だけ深夜で再放送してたんで、見れましたが
私にはよかったのは半分くらい、あとはちょっとついてけなかったです(汗)
原作読んでた分抵抗もあって。
          *

次いで、同じBS2で今度は「劇団☆新感線」特集がありました。
それは5作品中3つがすごく面白く感じました。かなり笑えるし
ぶっとんでるし。

それですっかり「お芝居観たい」という気持ちに。が、
自ら劇場へ足を運んだことのない私は情報源さえよく分からず。
BS2や教育TVで舞台放送が定期的にあるのに気づき
こまめにチェックしたり、夢の遊眠社のVHSを中古で買ったり
してみました。
夢の遊眠社ビデオは「小指の思い出」がよかったです。
といっても「パンドラの鐘」みたいに「見てれば段々どんな話か
分かってくる」というものではなく最後まで訳がわからないままで
かなり戸惑いましたが。野田秀樹ファンのMLなんかで
質問して「当時はそういうはっきりと筋のない劇が全盛だった」ことを
教えてもらったり、「小劇場」とかいうジャンルの存在も知りました。
で私がすきなのはその「小劇場」らしく
「学校でもこういうの見せたら(学校上、問題のあるネタは削って)
もっと芝居好きの人増えるかもしれないのに」
などと勝手に思いました。

        *

 他にTVで見た中では、2002年「深夜劇場」インタビュー付きで放映された
猫のホテル「愛してるいや、言わんでいい」と
StudioLife「トーマの心臓」がよかったんですよね。
その後二つとも来春に大阪で公演する、って分かってチケット
取りました。



 どんどん色んなお芝居を観たい気持ちでしたが、何分東京集中。
そして東京である程度人気を得た劇団が、大阪にもくる、というのがほとんど。
地元の劇団は少ないし、関西出身劇団も人気が出たら東京公演が
多くなってしまう、というのが現状だと知りやきもきしました。
 演劇雑誌や劇場のHPなど見るようになっても、ただ劇団名を
覚えるばかり。肝心の中身が観られないんですね。
 演劇ビデオ(DVD)はレンタルもなく、映画の数倍分が悪い。
会社が、映画のことを扱っているから映画資料がたくさんあるのですが
ぽつぽつと演劇資料もあったんです。
95年までのテアトロバックナンバーや、演劇関連本数冊、
キネマ旬報特別号など。観たいけど観られない気持ちが高じたか、
食い入るよーに読みまして。
「別冊太陽 現代演劇60's~90's」は特に気に入って、何度も借りて読みました。
アングラや小劇場全盛期の演劇集団について写真入りで掲載されて
いて、今はもうないところ、名前変わっているところ、今も健在のところ
色々あって読んでるだけで面白かったです。
キネマ旬報は1968年とか1972年くらいの、アングラ芝居やサイケについて
取り上げられていました。当時東京で流行ってたようですが、地方にまで
浸透することもなく、早く廃れたとか。今見ても独特の雰囲気は感じます。
お芝居については知らない言葉がたくさんあったので、それも段々
覚えていきました。でも今も分からないことが多いです。
学校でも美術史は習っても、演劇史や舞踊史まで習わないですもんね。

 「小劇場」というのも「新劇、とか伝統芸能、とかミュージカルとかが
舞台のジャンルというのは分かるけど、小劇場は小さな劇場、という
意味もあるのでややこしいし、それがジャンルになるの?」
「中以上の劇場で公演するようになった劇団でも、"小劇場"と呼ぶの?」など
不思議でした。
他にも、結構大きく見える劇団でさえ「小劇団」と呼ばれているのも
「なら、どれくらいを大劇団というの?」
アマチュアとプロの違いについても「普通それだけで食べているのを
プロというなら、多くの劇団は違うみたいだし、なら演劇のプロと
アマチュアってどう違うんだろう?どちらもチケット代とって場所借りて
するのは同じだし」等々分からないことが多数。
本など読んでいるうちに、劇団の規模については
「基準はないが、大体団員数100名を超える劇団を大劇団とすると…」
と書かれてあったので数十名までは、小ないし中劇団なんだなあ、と
思えました。
アマとプロの違いは自分なりに「それだけで食べていけなくても、
出演料をもらう人はプロで、自分が出しこそすれ全く利益のない
人がアマ?」かと思っていたのですが
やっぱり「それだけで食べていない人は全員プロじゃないし、
プロ劇団とも呼べない」らしいんですね。
以前「日本で舞台だけで食べているのは、劇団四季と宝塚くらい。」
という話をきいたのですが、ではほとんどの劇団がプロ劇団ではない、
ということになるのだろうか?と思ったりしました。
  
 「小劇場」について辞書で調べると(何でも調べたくなっちゃうので)
ドイツで始まって、商業主義を否定して、自由で実験的・前衛的な
芸術性を追求した演劇運動、みたいなことが書かれていました。
日本では新劇に対抗して60年代頃から始まった小さな前衛劇団の総称
らしいです。
けど「小劇場」と呼ばれているけど商売に走っているところも感じたり
前衛的でもなかったり、そんな劇団もあるんですよね。
それは何だろう。
「新劇」というのも「何?」だったけど文学座とか青年座とかが
やってる「普通の芝居」なのかな、と思いました。
ちゃんと説明を読むと、リアリズム重視で近代的で、思想やなんか
取り扱った筋のある芝居とか何とかいうことらしいですが。
他にも、それ以前に現れた「新派劇」という大衆演劇などがあるとか。
それから、ミュージカルに対して歌のない芝居はストレートプレイ
というとか。横文字入ると、なおよく分からないんですけど。
昼の部はマチネ、夜の部はソワレ、というのもなぜそれだけフランス語
なの?とか。未だに知りませんが、きれいな呼び名だな、と思います。
他にも数え方。「~という舞台を○公演見た」という言い方を
しますが、「第△回公演、~」という言い方をするのに、観た回数の
単位も「公演」と呼ぶの?それも未だに謎です。
「○ステージ」という言い方は、観客はしないようですし。

座席についても「桟敷席」がまず分からなかったです。
地べたよりは1段台を使って高くした席のようですが。なら台の代わりに
座布団だったりする席は、別に桟敷席ではないのでしょうか。
それから、どの程度までを「小劇場」と呼ぶんでしょうか。
手作り感のある、ライブハウス規模でロビーも何もない小さな劇場が
「小劇場」だとすると、きれいでロビーもあるしあらかじめ座席が固定
されている劇場でも、「小劇場」って呼ばれるのに違和感が。

 地元のアマチュア劇団の人から話をきいて知ったことですが
固定座席のない小劇場では、座席も自分達で設置するそうです。なので
公演によって、全席自由だったり指定があったり、
椅子があったり、座布団だったり、また席の形や角度も
上演側が、芝居に合わせて自分達で考えて決め、劇場の備品を借りて
組み立てるそうです。
 それから、小劇場ではうるさいからもちろんつけませんが、
ある程度大きめの劇場になると、舞台の袖などにマイクが設置されて
いるそうです。マイクなしでも後ろまで声の届く役者さんも
いますが、発声が十分じゃない俳優さんも(映像から来た人など)では
どうしても後ろまで聞こえないので、袖や天井にある
マイクで音を拾っているらしいです。

 それから「制作って何をするの?」「演出と舞台監督の違いって?」と
そういうスタッフ業のこともよく分かりませんでしたが、これらは
割と雑誌や何かに載っているので、何となくは、分かりました。
 一番分からないのが収入面だったりしますが。それについては
当事者の方が、時々どこかで語っているのを聞いて何となく推測するくらいで。

       *
 戯曲も少し読んでみました。雑誌テアトロには必ず毎月1作か時には2作
戯曲が掲載されており、そのバックナンバーを拾って、
または単行本で。
戯曲だけで、十分面白くて、だからその分余計舞台でも見たかった、と
思えるものいくつかありました。
もう解散し、映像化もされていないので決してその劇団の公演
としては観られないものも混ざっていました。
かと思うと、「舞台で観たら面白いのかもしれないけど」と戯曲
だけでは、ぴんとこないものも。セリフが多くてイメージしやすい
戯曲もあれば「その場の役者や演出にまかせます」風のものもあるんですね。
映画のシナリオなどと比べると、ト書きが少なく、ほとんどセリフが並んでいる
ばかりのものもあり、シナリオと映画以上に戯曲と舞台は
違うものだというのが分かりました。
演出や役づくりが入ることで、こうも印象が違うんだ、こんなに
生き生きするんだ、と驚きました。
目で見ているだけでも素敵なセリフもありますが、声に出して始めて
伝わるものがあるセリフが多いようでした。

アングラものは「雰囲気はよさそうだけど、何だか…」と
半分憧れ、半分不快または拒否反応。アングラじゃなくても
「小劇場っていうのは、不謹慎、または差別用語が混じらなきゃいけない
のだろうか。」と思いたくなることも多かったです。
「タブー視されてる言葉・表現を使うのが小劇場」とでもいわんばかりに
多用されているのは、気になりました。結局それはそれで1つの型に
はまってしまっている気がするうえ、新しさも何もないような。
 
 観たいだけ芝居を観られない気持ちが、本や知識や映像に注がれた
のですが、知識を取り入れるより、何より実際に生の舞台をたくさん
観るのが一番なんだろうな、とやはり思わされます。


(04年4月)
    


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